FujiyamaAnnette/Manos.

[REPORT]9.22(月)– 23(火・祝) 冨士山アネット/Manos.「醜い男 」

August 28th, 2014 Update / Author: miami

9月22、23日の2日間、ぽんプラザホールで上演される、冨士山アネット/Manos.「醜い男」。
今回は、公演に先立ち行われた「醜い男」の一部リーディング上演の観覧と、
「冨士山アネット」と「冨士山アネット/Manos.」の作・演出・振付を担当する、
主宰・長谷川寧さんのお話しを聞くことができましたのでレポートします。

醜い男_0612_omote 冨士山アネットは、2003年から活動を開始した、類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、
身体性を強く意識したパフォーマンスが特徴の劇団で、
近年は、自らがつくる台詞のある台本を「ダンスの設計図」と喩え、それをもとに動きを組み立てて、言葉を削ぎ落とし、
最終的に台詞を一切しゃべらないという、振り付け師ならではの考え方で行われる演劇観が魅力の
「ダンス的演劇(テアタータンツ)」という独自のジャンルで作品を制作しています。

今回、「醜い男」を上演する「冨士山アネット/Manos.」とは、そんな長谷川さんが、
演劇に特化した表現をするために2013年に新たに立ち上げたユニット。
長谷川さんの中の大きなテーマである「現在性」の価値観が、震災後、大きく変化していく現代において、
「ダンスや演劇でなにを見せたいのか」を模索していた時に、現実にコミットしたことを伝えていく術として
台詞を使うという選択もあるとの思いからから「冨士山アネット/Manos.」は始まりました。

本作は現在のドイツ演劇を代表する演劇人の一人、マリウス・フォン・マイエンブルクによる戯曲で、
2007年ベルリン・シャウビューネにて初演後、世界30カ国以上で上演された評価の高い作品。

エンジニアの男が、外見の醜さゆえ、自らが開発した新製品発表の舞台から降ろされたことをキッカケに
妻からも醜いと告げられるところから物語りは始まります。
自分の顔の醜さを知った男は、美容整形を受け「尋常でない成功例」となり、人生は劇的に変わって行くが・・・。

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長谷川さんが、この戯曲と出会ったのは7.8年前。
当時から、ファンタジーであり、ある種リアルでもある内容の面白さと、
ト書きがほとんどなく、演出家へ挑戦するような台本、
そして、外見的な醜さという受取手の多様さがあるところにダンスに近い部分を感じ、
いつかやってみたいとの思いがあったことから、今回満を持して「醜い男」の公演を決意。
コメディの要素が多い本作では、演技や動きの“さじ加減”の難しさと面白さを痛感し、
今まで緊張感のある作品をつくってきた長谷川さん自身も大きな挑戦になっているそう。
現段階で面白さは「わかりやすい部分をなくしていく作業」だそうで、
4人のキャストの配役がどんどん混じり合っていく、長谷川さんならではの演出にも注目。

また、「今回、とても重要なのは演者の技量」と語る長谷川さん。
東京で活動するベテランの俳優たちで固められた4人のキャストが、
長谷川さんの“どういう振動で伝わるか”を考えたダンス的な演出を、
どう受け止め、どう表現していくのかも楽しみです。

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「僕らはいま、昔漫画が描いてた荒廃した近未来に、当たり前のように住んでいて、
だからといって、殺伐な世界かというと、すごく日常を生きていて。
現在をどう生きるかを、僕自身とても考えています。
だからこそ、仕事も1本1本、曖昧な理由では、選べなくなっている。
自分の中にあるテーマに合うものをつくっていきたい。」

劇中の整形外科医師・シェフラーの台詞に
「今日では何ひとつ信用出来るものなどない」というものがあります。

整形することによって「価値観が崩壊してしまう」主人公の人生は、
可笑しくも、切なく、とてもリアルに心に届く。
なぜなら、人の価値観は、こんなにも簡単に変わり、
変わったことをすぐに忘れてしまうということを誰もが知っているからなのかもしれません。
だからこそ「今の日本でやるべき意味があるのではないか」。

「冨士山アネット/Manos.」の公演は、九州初。
今回は、1/3ほど部分までリーディング上演を拝見しましたが、
「美しさや、醜さ」をテーマとしたストーリーは誰しもが共感出来る内容だと思いますし、
役者たちの動きや、台詞、そして、ほぼ制約がない中での自由な演出に、
本公演が今からとても楽しみな、この秋おすすめしたい演劇です。

(おおが)

* * *

●長谷川寧 Ney Hasegawa
2003年、冨士山アネット結成。作・演出・振付・出演を担当。 冨士山アネットでは言葉を削ぎ落とし、
身体性を強く意識した「ダンス的演劇(タンツテアター)」という独自の手法にて演出を行い、
類い稀な空間演出と共に独自の空間を描き出す。 自らの公演の他にも外部演出/振付/出演等多数。
2012年より演劇に特化した企画冨士山アネット/Manos.(マノス)を立上げる他、
2014年マイム俳優・いいむろなおきとのユニットArCairo(アルカイロ)にて活動を始動。
近年では2009年シンガポール招聘公演、2011年韓国レジデンス制作、
2012-13年日韓国際共同製作等の海外活動をはじめ、 bonobos、フジファブリック、カサリンチュ、
the chef cooks me等のミュージックビデオ振付他、国内外ジャンル問わず活動中。

●冨士山アネット/Manos.「醜い男」
9月22日(月)19:30~
  23日(火・祝)11:00~/15:00~

ぽんプラザホール
福岡市博多区祇園町8番3号

Category: FUKUOKA, REPORT, THEATER /

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マイアミ企画(Miami Kikaku)
2011.11.11設立。
私の「いま」をポップにエディットする!をテーマとした
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「伝えたい」を形にしていこうと思っています。
今、気になることは、“どう楽しんで暮らせるか“。
そのために欠かせない、演劇や音楽、本やアートのことなどを
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